イタリアのアッシジは日本人にとってどれほど知名度があるのかわかりませんが、カトリック信者にとってはとても有名な聖地です。
アッシジ観光でほとんどの人が訪れるであろう聖フランチェスコ大聖堂は、一面のオリーブ畑が見渡せる丘の上にあります。
聖地らしくとても静かで自然豊かで美しい場所。だけど冬ということもあってか、どこか少し寂しげな空気も漂っていました。
駅から大聖堂までタクシーで向かい、大聖堂内を思う存分見学しました。所々に祈りをささげる人の姿も多く、厳かな雰囲気が
漂っていましたが、「聖フランチェスコの祈り」の一節、慰められるよりも慰める事を、理解されるよりも理解する事を、
愛されるよりも愛する事を私が求めますようにーにあるような慈悲深さや、すべての人を受け入れるような慈愛に満ちた雰囲気も感じられる、とても素晴らしい場所でした。
行きはタクシーで来たオリーブ畑が続く長い一本道を、帰りは友人と二人、何を話したのか今は覚えていませんが、
ずっと話をしながら駅に向かって歩きました。
時はもうすでに夕方。よく晴れた美しい冬のイタリアの空に夕焼けの時刻が迫っていました。
少し暗くなりかけた青空に淡いオレンジの夕焼け。そして一番星が輝く澄んだ冬の空。
なぜだか分からないけど、幸せとはこういう感覚の事なんだなと思ったことを、今でもよく覚えています。
アッシジは決して派手さや華やかさはないかもしれません。
しかしこの時訪れたイタリアの他のどの都市よりも、忘れがたい印象を私の中に残しました。
もう一つ印象に残ったのは、通りに飾るクリスマスのイルミネーションがとてもシンプルだったこと。
クリスマスイルミネーションは、たいていどこでも派手になりがちだと思いますが、アッシジはシンプルだけど、
とっても上品で、どこよりも洗練されていました。
ここまで独特な雰囲気を感じられる場所は、世界広しといえども中々ないかもしれない、そのようにも感じました。
訪れた人を優しく受け入れ、癒してくれるアッシジ。すべての季節に訪れてみたくなる、素晴らしい場所でした。
次はオーストリアに向かう乗り継ぎのため、ローマに向かいます。